不妊症について

不妊症とは

不妊症のイメージ写真

特定のパートナーと避妊をせず継続的に性交渉を行っているのに、1年間以上妊娠しない場合に、不妊症と診断されます。原因が女性側にある「女性不妊」と、男性側にある「男性不妊」があり、両者の可能性はほぼ同等です。 不妊の原因は、女性だけの問題ではありませんので、男性パートナーの協力も不可欠です。決して、お一人ではお悩みにならないでください。当クリニックでは、お一人でのご相談はもちろん、パートナー同伴によるご相談も大歓迎です(感染症予防の観点から)。

不妊症の原因はひとつではありません。そのため、不妊症の検査は男女のパートナーともに受けることが原則です。それぞれ考えられる主な原因は次の通りです。

女性不妊の主な原因

排卵因子
排卵がしにくいなど、排卵するまでの過程に問題がある。
卵管因子
卵管の通りが悪いと、卵子と精子が出合えない。
子宮因子
子宮の奇形、子宮筋腫や子宮腺筋症による子宮の変形、子宮内膜の異常(子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、発育不全など)によって受精卵が着床できない。
年齢因子
女性の年齢が40歳を超えると、妊娠率が著しく低下する。

男性不妊の主な原因

性交時の障害
ED(勃起不全)や射精障害などのために腟内に射精できない。
精子の問題
動いている精子の割合が少ない(精子無力症)、精液中の精子数が少ない(乏精子症)、精液中に精子がいない(無精子症)、奇形がある精子(奇形精子)が多いことなどある。精子を作る機能が悪い造精機能障害や、精子を運ぶ通路の通りが悪い精路閉鎖によりおこります。

男女の相性が原因となる場合

女性側の免疫機能により体内に入ってきた精子を異物として認識してしまう抗精子抗体があり、精子が卵子までたどり着けず受精が成り立たない。

帝王切開瘢痕症候群

帝王切開後に、月経が長引いたり不正出血が多いといった症状が出現し、なかなか妊娠されない場合は、帝王切開の際に切開される子宮の一部に問題がある場合がある。

原因が不明な場合

男女ともに様々な検査を受けても、原因がみつからない不妊があります。現時点の検査法では、原因がわからないという意味であり、今後原因が明らかになる場合もあります。しかし、原因が不明な場合でも、人工授精や体外受精により克服できる場合も多くあります。

主な不妊検査

不妊症の治療を行うにあたっては、まず妊娠の妨げになっているのが何かを調べる必要があるので検査を行います。検査は女性であれば月経周期に合わせて行い、不妊症の原因が推定できれば、それに対応して治療方針を立てることが可能です。他院で行った検査の結果は、古いものでも参考になる場合がありますので、ご持参ください。 また、一部の検査だけを当院で行うことも可能です。

当院の不妊検査

【女性】

問診
月経の状況、過去の妊娠・出産、既往歴(過去の病気)、日頃の生活習慣などについてご質問いたします。
内診・経腟超音波検査
外陰部、腟、子宮、卵巣を診察します。触診にて痛い箇所の有無、経腟超音波で子宮や卵巣の異常が無いかの確認などを行います。月経中に卵巣の状態を見る検査もあります。
血液検査
血液を採取して、感染症、炎症反応、ホルモン値などを測定し異常が無いかを調べます。ホルモン値については、月経中や排卵後の高温期など、分けて採血をします。
子宮卵管造影検査
原則、月経終了後より排卵日前に行います。子宮の内腔の形を見たり、卵管のつまりが無いかを調べたりします。また、卵管周囲などに癒着が無いかどうかの予測も行います。
フーナーテスト
排卵日あるいは排卵日前日に性交渉を行い、2~24時間後(早いほうが望ましい)に受診していただきます。性交時に腟内で射精された精子が子宮頚管や子宮内腔まで到達しているか調べます。
AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)
卵巣の予備能(卵巣年齢)を調べる検査です。

【男性】

問診
不妊症の原因となるものが無いかを、日頃の生活習慣や既往歴(過去の病気)などを通して確認します。
精液検査
精液の量や精子の数、運動率、奇形の有無などを調べます。

治療について

綿密に検査を行った後には、いくつかある不妊の治療法の中で最適と思われる不妊治療をご本人の希望に沿うように選択していきます。まずはお気軽にご相談ください。

不妊症の主な治療法

タイミング法
基礎体温表や超音波検査で排卵日を予測して、排卵日前後に性交渉を持つことによって妊娠を目指すもっとも基本的な治療法です。
AIH・IUI(人工授精)
提出していただいた(パートナーの)精液を洗浄(濃縮)し、子宮の中に送り込む治療法です。タイミング法と違って、多くの精子を子宮の中に直接入ることができます。体外受精と混同されることがありますが、子宮の腔内に送り込まれた精子が遊走するところから、受精と着床(妊娠)までは自然な過程で行われます。当院でも行っております。
ART(生殖補助技術)
卵子や精子を体外に取り出し、体外で受精させる技術であり、体外受精(IVF)、顕微授精法(ICSI)、胚移植(ET)、ヒト卵子・胚の凍結保存ならびに凍結胚移植等の技術に対する総称です。当院では行っておりません。

月経関連疾患(月経異常・月経困難症・PMS・不正出血など)について

月経の異常とは

月経不順のイメージ写真

正常な月経(生理)周期(月経開始日から次の月経開始日前日まで)の定義は25~38日です。 常に一定の間隔で月経が来る人もいれば、多少ずれる人もいますが、この範囲内に収まっていれば(前月は27日で月経が来たけど今月は遅れて35日だったというような場合も)、まず問題ありません。 月経不順の多くは、ホルモンの分泌障害により起こりますが、ストレスによる自律神経の乱れから甲状腺などの疾患まで、様々な原因により起こります。月経の異常には、周期の異常以外にも、出血量、月経期間、月経痛などの異常や月経前症候群(PMS)、不正出血があります。また、卵巣の機能障害による異常として、早発卵巣機能不全や更年期障害などもあります。

月経周期の異常

月経の異常(月経不順)には、下記のように様々なタイプがあります。

  • 早発月経(10歳未満で初潮が発来)
  • 遅発月経/初経遅延(15歳になっても初潮がない)
  • 原発性無月経(18歳になっても初潮がない)
  • 頻発月経(月経周期が24日以下である)
  • 稀発月経(月経周期が39日以上90日未満である)
  • 続発性無月経(月経が90日以上こない)

現時点でご本人の生活に支障がなかったとしても、ホルモンの分泌異常や排卵障害があるため、長い目で見ると骨粗鬆症、脂質代謝異常(高コレステロール血症)、不妊症などにつながる可能性があり、治療が必要です。特に、今後妊娠を考えている方は早めの治療が必要な場合もあります。

その他の月経異常

正常な月経期間(月経初日から最終日まで)は3~7日であり、正常な総経血量(月経としての総出血量)は20~140mlとされています。

  • 過短月経(月経が2日以内で終了する)
  • 過長月経(月経が8日以上続く)
  • 過少月経(総経血量20ml以下、月経時の出血がほとんどない)
  • 過多月経(総経血量150ml以上、3日目以降でも血の塊が出る)

過短月経や過少月経は、子宮内膜掻爬術(堕胎や流産の処置)などによる子宮内腔の癒着や、ホルモン分泌の障害によることが多く、排卵を伴わない不正出血であることもあります。過長月経や過多月経は、ホルモンの分泌異常の他に、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮癌、帝王切開瘢痕症候群(帝王切開による子宮の一部が瘢痕化すること)などが原因として考えられます。過長月経や過多月経の場合には、自覚症状がなくとも貧血となっている場合が多く、過短月経や過少月経は不妊症に直接関係している場合もありますので、受診をお勧めします。

早発卵巣不全/早発閉経(POI)

閉経(1年以上月経が来ない状態)は多くの人で45歳から56歳くらいまでにおとずれますが、40歳未満でおこる閉経してしまう状態です。卵巣の問題であることが多く、生活に支障がないことが多いですが、無排卵で女性ホルモンが分泌されていないため、骨粗鬆症、脂質代謝異常(高コレステロール血症)のリスクが高くなります。特に、今後妊娠を考えている方は速やかに受診してください。

月経困難症(月経期間中に、月経に随伴して起こる病的症状)

月経痛以外にも、頭痛、嘔吐、下痢、性交痛、気分変動といった様々な随伴症状があります。機能性月経困難症といって、器質的な異常(子宮、卵巣、卵管の異常)がないものもと、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などによる器質性月経困難症があります。子宮内膜症などは早めの診断と治療が重要なので、日常生活に影響を及ぼすようであれば早め受診をお勧めします。

月経前症候群(PMS) (月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに改善する)

情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなど様々な症状があります。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)といって速やかな受診が必要です。

更年期障害 (更年期に現れる日常生活に支障を来す症状で、他の病気によるものではない症状)

閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。その更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものが「更年期症状」であり、代表的な症状はホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)ですが、めまい、動悸、頭痛、肩こり、冷え、しびれ、疲れやすさ、気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など、症状は多彩です。特に症状が重く日常生活に支障を来す状態は、「更年期障害」と診断され治療対象となります。

不正出血

不正性器出血は、本来出血すべきではない時期(月経以外の時期)に起きる性器出血の総称なので、その原因は多種多様です。妊娠時の不正出血を除くと、腫瘍(癌、前癌病変、肉腫、絨毛性疾患、子宮筋腫、子宮腺筋症、ポリープ)、外傷(性交渉、癌検診、組織生検、手術)、炎症(腟炎、子宮頚管炎、子宮内膜炎)、子宮腟部びらんなど原因となる組織または状態が存在するものと、機能性出血は、不正性器出血のうち、妊娠に関わるものと、ホルモンバランスの崩れによるものがあります。月経不順との区別が難しいこともありますが、最も重要なのは悪性疾患(がんや肉腫)の否定であり、そのための検査が必要となります。

主な検査

問診
月経の状況、月経随伴症状、日頃の生活などについてご質問いたします。基礎体温を計測されている方は、グラフにして(スマホのアプリも可)ご持参ください。基礎体温表は、診断において重要な情報となります。
内診・経腟/経腹超音波検査
外陰部、腟、子宮、卵巣を診察します。触診にて痛い箇所の有無、経腟超音波(腟に細い機械を入れて見る超音波)で子宮や卵巣の異常が無いかの確認などを行います。内診や経腟超音波を希望されない場合は、躊躇せずお申し出ください。代替検査として、経腹超音波(おなかの上から見る超音波)へ変更することも可能です。
血液検査
血液を採取して、ホルモン値などを測定し異常が無いかを調べます。ホルモン値については、月経周期の時期によって採血項目を変えて採血します。
癌検査
月経不順や不正出血には、子宮の癌が原因となっているものがあります。そのため、癌を否定するため、内診で子宮頚癌や子宮体癌の検査をすることがあります。

主な治療法

漢方薬
月経周期を整えるためや月経痛の改善に漢方薬を使用します。また、月経前症候群や更年期障害の改善にも漢方薬を使用します。
ピル(女性ホルモン剤)
低用量のピルや中用量のピルを使用して、月経周期の正常化、月経困難症の解消、月経前症候群や更年期障害の改善を図ります。
その他の薬
子宮内膜症による月経困難症には、ジエノゲストを使用することもあります。また、過多月経や月経困難症に対して、子宮内に装着するミレーナを使用することもあります。

当院では、検査による診断結果およびご本人の希望をもとに、上記のような治療法を選択していきます。

避妊について

避妊について

避妊のイメージ写真

避妊については、日本で最も使用頻度の高い避妊法であるコンドーム以外にも、低用量ピルや子宮内避妊器具(IUD)といった方法が存在し、当院ではいずれも扱っております。また、妊娠を希望していないのに避妊せずに性交してしまったり、コンドームが破けるなど避妊に失敗してしまった際に、妊娠の可能性を低下させる緊急避妊ピルもあります。避妊についても気軽にご相談ください。

低用量ピル

低用量ピルとは

経口避妊薬とも呼ばれる低用量ピル(OC:Oral Contraceptive)は、エストロゲンとプロゲストロンを含むホルモン剤で、ホルモンの量が少ないことから低用量ピルと言われています。日本では1999年より医薬品として認可されており、1999年以前に出回っていたピルと比べ安全性が高くなっています。低用量ピルを毎日1錠ずつ同じ時間帯に服用することで、排卵が抑制されるほか、子宮内膜の増殖も抑えられ(子宮内膜が厚くならず)着床もしにくい状態になります。また子宮の入口の粘液も変化して精子が通過しにくくなります。このような効果から、ピルを正しく服用すればほぼ99%以上の避妊効果があります。

副作用と副効果について

副作用としては、吐き気、頭痛、倦怠感、むくみ、不正出血、乳房の張りなどがみられる場合もありますが、服用開始後1~2ヵ月でおさまることが多いです。そのほか、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)を発症することがあります。血栓塞栓症は血管の中で血液が固まる現象で、まれではありますが、発症すると重篤になることもあり、早期の対応が必要です。また、子宮頸がん・乳がんの発症がわずかに増加します。もう一つ注意すべきこととして、手術前4週以内、術後2週以内および長期安静状態の方は低用量ピルを内服できません。医療機関を受診する際は、低用量ピルを内服していることを必ず医師にお伝えください。逆に、避妊以外のメリットとして、卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスクを減少させる作用があるほか、月経困難症、過多月経、子宮内膜症、月経不順、月経前症候群、ニキビ、多毛に対する治療効果も認められています。そのため、これらを目的に服用される方も多くいます。

低用量ピルを使用できない方

下記の項目に当てはまる方は低用量ピルを使用できません

  • それぞれのピルに過敏性素因のある方
  • 初経発来前、50才以上、閉経後
  • 乳がんや子宮がんの心配がある方
  • 診断の確定していない不正出血がある方
  • 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、心筋梗塞の既往がある
  • 35歳以上で1日15本以上たばこを吸う
  • 前兆を伴う片頭痛がある方
  • 肺高血圧症、心臓弁膜症の方
  • 血管病変を伴う糖尿病の方
  • 血栓性素因がある方
  • 抗リン脂質抗体症候群の方
  • 手術前4週以内、術後2週以内および長期安静状態にある方
  • 重篤な肝障害や肝腫瘍がある方
  • 脂質代謝異常のある方
  • 高血圧の方
  • 耳硬化症の方
  • 妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペスの既往がある
  • 妊娠の可能性のある方、妊娠中から産後6週間以内の方、授乳中の方
  • 骨成長が終了していない可能性のある方
  • 重篤な腎障害や急性腎不全
  • オムビスタル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤を飲んでいる

子宮内避妊器具(IUD)

子宮内避妊器具とは、避妊を目的として小さな器具で子宮の内腔に装着します。一度装着すると数年間の避妊が可能となります。種類によっては、月経痛や月経量を軽減することも可能です。また、妊娠を希望するようになった場合、子宮内避妊器具を抜去することで、再び妊娠できるようになります。IUDのメリットとしては、女性がご自分で選べる避妊方法であり、ピルのように毎日薬を飲む必要がない点が挙げられます。一方、デメリットとしては、医師による装着と抜去が必要であることがあります。

緊急避妊ピル(アフターピル)

避妊をしないでセックスしてしまったとか、コンドームが破けるなど避妊の失敗が起こったような場合に、極力妊娠を回避する方法として、「アフターピル(緊急避妊薬)」と呼ばれる避妊薬の服用があります。アフターピルとは、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を成分とした薬剤です。無防備なセックスや避妊失敗の後、72時間以内(可能な限り早く)に、アフターピルを服用することで、妊娠率を低下させることができます。しかし、アフターピルの内服も妊娠の可能性をゼロにはできないので、月経が遅れた場合には妊娠検査が必要となります。

子宮内膜症/子宮腺筋症

子宮内膜症/子宮腺筋症とは

本来、子宮内膜は子宮の内腔にしか存在しませんが、子宮内膜様の組織が、何らかの原因で子宮内腔以外の場所(卵巣、骨盤内の腹膜、時には子宮から遠く離れた肺など)で増殖し、月経のたびにその場所で出血を繰り返すためにおこる疾患です。そのため、月経がある限り、病状は悪化する可能性があります。なかでも、子宮内膜症の組織からでた出血が卵巣に溜まった病態を「子宮内膜症性嚢胞(通称、卵巣チョコレート嚢腫)」、子宮筋層内に子宮内膜様の組織ができて子宮全体が腫れる疾患を「子宮腺筋症」と言います。

子宮内膜症/子宮腺筋症の症状

代表的な症状は、ひどい月経痛で、年齢とともに強くなっていくのが特徴です。また、多くの方に慢性の骨盤痛があり、重症の場合には性交痛や排便痛がある方もいます。その他、子宮腺筋症では月経の量が多く(過多月経)貧血になる方もいます。卵巣チョコレート嚢腫では、卵巣機能を低下させたり病巣周囲に癒着を作ったりするため不妊になることがあるので、早めの診断と治療が必要ですが、自覚症状がなく子宮内膜症と気づかない人もいます。また、6cm以上卵巣チョコレート嚢腫は、卵巣癌を発症するリスクが有意に増加することも明らかとなっています。

主な検査

問診

月経の状況、月経随伴症状、日頃の疼痛などについてご質問いたします。症状がいつごろからはじまり、どのように変化しているかを伺いますので、経過が長い方はメモなどにまとめて持参いただけると助かります。

内診・経腟/経腹超音波検査

外陰部、腟、子宮、卵巣を診察します。触診にて痛い所の有無、経腟超音波(腟に細い機械を入れて見る超音波)で子宮や卵巣の異常が無いかの確認などを行います。内診や経腟超音波を希望されない場合は、躊躇せずお申し出ください。代替検査として、経腹超音波(おなかの上から見る超音波)へ変更することも可能です。

血液検査

血液を採取して、子宮内膜症のマーカー(CA125・CA19-9)値などを測定し異常が無いかを調べます。また、過多月経の方には、貧血がないかどうかを血液検査で調べます。

MRI・CT

超音波だけで判断できない場合には、MRIやCT検査をお勧めすることがあます。当院ではできませんが、連携病院やお近くのメディカルスキャンニングで撮影ができます。

主な子宮内膜症/子宮腺筋症の治療

子宮内膜症や子宮腺筋症の治療法には、薬物療法と手術療法があります。どのような治療をするかは、症状の状況に加え年齢や妊娠の希望の有無など、本人のライフプランによっても変わってきますので、医師とよく相談して決めていきます。特に、今後妊娠の可能性がある方や不妊症の方の場合には、慎重な検討が必要とされます。

薬物療法

女性ホルモンであるエストロゲンにより増悪する疾患なので、エストロゲンを抑える薬を使用します。低用量ピル・ジエノゲスト・GnRHアゴニストなどを使用します。また、月経困難症や過多月経に対しては、子宮内に装着するミレーナも使用できます。

手術療法

基本的には病巣を切除することになりますが、根治的には両側の卵巣・卵管と子宮を摘出します。また、今後の妊娠を考えて、妊娠にかかわる臓器(卵巣・子宮)に関しては、機能の温存を優先して病巣を完全に切除しないこともあります。手術を施行する病院に関しては、連携病院はもちろんのこと、連携病院以外にもご希望の病院に対して紹介状をお書きできます。

子宮筋腫

子宮筋腫とは

子宮の壁は平滑筋という筋肉からできていますが、その筋肉に良性の腫瘍(こぶ/しこり)ができる病気を子宮筋腫といいます。30歳代の女性では、約1/3の方がこの筋腫を持っていると考えられ、年齢とともに罹患率は増しますが、多くの場合は無症状で日常生活に問題はありません。しかし、筋腫のできる部位によっては小さな筋腫でも、月経の量が多くなる(過多月経)などの症状がでてきます。また、月経がある限り大きくなる可能性があり、最初は症状がなくても大きくなると症状が出てくる場合もあります。

子宮筋腫の症状

症状としては、月経の量が多くなり貧血となることが最大の問題であり、貧血の原因検索の中で子宮筋腫が発見されることも少なくありません。生理痛が強くなったり、不正出血がみられることもあります。最初は無症状であった筋腫でも大きくなると、下腹部や腰の痛み、腹部膨満感や重苦しさ、不正出血、頻尿などを伴うこともあります。また、不妊症や流産を引き起こすこともあります。

主な検査

問診

月経の状況、月経随伴症状、日頃の疼痛などについてご質問いたします。症状がいつごろからはじまり、どのように変化しているかを伺いますので、経過が長い方はメモなどにまとめて持参いただけると助かります。

内診・経腟/経腹超音波検査

外陰部、腟、子宮、卵巣を診察します。触診にて痛い所の有無、経腟超音波(腟に細い機械を入れて見る超音波)で子宮や卵巣の異常が無いかの確認などを行います。内診や経腟超音波を希望されない場合は、躊躇せずお申し出ください。代替検査として、経腹超音波(おなかの上から見る超音波)へ変更することも可能です。

血液検査

血液を採取して、貧血がないかどうかを調べます。また、子宮肉腫(子宮平滑筋の悪性腫瘍)との鑑別が必要な場合には、子宮肉腫のマーカーとなるLDHを測定することがあります。

MRI・CT

超音波だけで判断できない場合には、MRIやCT検査をお勧めすることがあます。当院ではできませんが、連携病院やお近くのメディカルスキャンニングで撮影ができます。

子宮筋腫の治療

子宮筋腫の治療法には、薬物療法と手術療法があります。どのような治療をするかは、症状の状況に加え年齢や妊娠の希望の有無など、本人のライフプランによっても変わってきますので、医師とよく相談して決めていきます。妊娠を希望されている方では、不妊や妊娠中のトラブル等も考え、自覚症状がなくても治療が必要な場合もあります。

薬物療法

女性ホルモンであるエストロゲンにより増悪する疾患なので、エストロゲンを抑える薬を使用します。低用量ピル・GnRHアゴニスト・GnRHアンタゴニスト(レスミナ錠)などを使用します。また、月経困難症や過多月経に対しては、子宮内に装着するミレーナも使用できます。

手術療法

基本的には問題となる子宮筋腫を切除しますが、根治的には子宮全体を摘出することになります。また、子筋腫の場所によっては、子宮鏡という内視鏡を使用してお腹に傷をつけずに、腟の方から筋腫を切除できることもあります。手術を施行する病院に関しては、連携病院はもちろんのこと、連携病院以外にもご希望の病院に対して紹介状をお書きできます。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍とは

卵巣にできる腫瘍で、様々なタイプがあります。腫瘍=癌と思われがちですが、腫瘍には悪性腫瘍(癌)と良性腫瘍(卵巣嚢腫など)、そして境界悪性腫瘍(良性と悪性の中間)があります。その腫瘍がどのタイプに属するのかが、最も重要なポイントになります。良性腫瘍でもタイプによっては悪性腫瘍に変異することがあるので、注意が必要です。また、月経周期において、排卵後の黄体が大きくなり卵巣腫瘍と見分けがつきにくいことがありますが、黄体の場合には月経後に小さくなることがほとんどです。

卵巣腫瘍の症状

卵巣腫瘍は、いずれの場合も一般的に無症状のうちに大きくなってくることが多く、大きくなってから腹部膨満感、下腹部痛、頻尿、便秘、不正出血などの症状で気づかれることがあります。また、腫瘍の種類によっては、周囲との癒着を起こしたり、卵巣腫瘍がねじれたり(茎捻転)、腫瘍が破裂したりすることで、急激におなかが痛くなったりすることがあります。

主な検査

問診

月経の状況(周期など)についてご質問いたします。症状がいつごろからはじまり、どのように変化しているかを伺いますので、経過が長い方はメモなどにまとめて持参いただけると助かります。

内診・経腟/経腹超音波検査

外陰部、腟、子宮、卵巣を診察します。触診にて痛い所の有無、経腟超音波(腟に細い機械を入れて見る超音波)で子宮や卵巣の異常が無いかの確認などを行います。内診や経腟超音波を希望されない場合は、躊躇せずお申し出ください。代替検査として、経腹超音波(おなかの上から見る超音波)へ変更することも可能です。

血液検査

血液を採取して、卵巣腫瘍のマーカー(CA125・CA19-9など)値などを測定し異常が無いかを調べます。

MRI・CT

超音波だけで判断できない場合には、MRIやCT検査をお勧めすることがあます。当院ではできませんが、連携病院やお近くのメディカルスキャンニングで撮影ができます。

卵巣腫瘍の治療

卵巣腫瘍の治療は、良性か悪性か境界悪性かによって変わってきます。悪性や境界悪性を疑った場合には手術を基本とした治療が必要です。一方、良性の卵巣腫瘍の場合には、そのタイプによって、無治療で経過を見れる場合、薬物治療を選択できる場合、手術が必要な場合があります。また、卵子は卵巣で作られているため、将来の妊娠のことも考えた治療選択が必要となります。

薬物療法

子宮内膜症の一種である、チョコレート嚢腫の場合には、女性ホルモンであるエストロゲンにより増悪する疾患なので、エストロゲンを抑える薬を使用します。子宮内膜症の治療と同様に、低用量ピル・ジエノゲスト・GnRHアゴニストなどを使用します。

手術療法

悪性腫瘍の場合には、タイプや病期(ステージ)によって治療法が異なります。一方、良性腫瘍の場合には、基本的には病巣を切除することになりますが、根治的には腫瘍がある側の卵巣を摘出します。また、今後の妊娠を考えて、妊娠にかかわる臓器(卵巣・子宮)に関しては、機能の温存を優先して病巣を完全に切除しないこともあります。手術を施行する病院に関しては、連携病院はもちろんのこと、連携病院以外にもご希望の病院に対して紹介状をお書きできます。