当院で手術可能な疾患

  • 子宮頚管ポリープ(場所:内診台 所要時間:2-3分 麻酔:なし 疼痛:なし)
  • 子宮内膜ポリープ(詳細は外来子宮鏡手術へ
  • 小型の粘膜下筋腫(詳細は下記外来子宮鏡手術へ
  • バルトリン腺嚢胞(場所:内診台 所要時間:15分程度 麻酔:局所麻酔 疼痛:麻酔注射の時のみ)
  • 局所麻酔で手術可能な良性疾患(皮膚や腟の腫瘤摘出など)

外来子宮鏡手術

はじめに

子宮鏡とは、子宮の内腔(赤ちゃんが育つ場所)を直接見るために作られた内視鏡です。腟を通して子宮の入り口から子宮の内腔へ子宮鏡を挿入して、子宮内腔の様子をテレビモニター(画面)に映し出すことができます。子宮鏡検査は、この子宮鏡を用いて子宮の内腔を直接観察し病変を診断する検査ですが、径が5mm以下の軟性子宮鏡(内視鏡の先端が柔軟に曲がるもの)を用いるのが一般的です。一方、子宮鏡手術は、画面に映し出された映像を見ながら手術操作を行う内視鏡手術の一つです。子宮鏡手術に用いる子宮鏡は治療を目的として作られた硬性子宮鏡で、内視鏡の先端は曲がらないですが手術に必要な器具類を装備できる子宮鏡です。

子宮鏡のイメージイラスト

従来の手術用の硬性子宮鏡は径が10mm以上と太く、手術の前に子宮の入り口から内腔までの道を広げる操作(頚管拡張)を必要とし、手術時は全身麻酔が必要でした。そのため、日本では今でも子宮鏡手術を入院して行う施設が多いのが現状です。
しかし、近年の子宮鏡技術の革新によって、径が5mm以下の細い治療用硬性子宮鏡が開発されました。この細径の子宮鏡を使用することで、頚管拡張をすることなく麻酔も使用しない外来手術が可能となりました。この技術は、ヨーロッパを中心に盛んに行われておりますが、日本では慶應義塾大学病院において当クリニックの院長が先駆的に行ってきました。入院を必要としないため、時間と費用の大幅な削減が最大のメリットではありますが、適応疾患が限られることに加え、痛みが強い場合やリスクが高い場合には手術を途中でも中止する可能性があるといったデメリットもあります。

対象疾患および手術の準備

子宮内膜ポリープ、小さな粘膜下子宮筋腫が子宮鏡手術の対象疾患となります。ただし、外来にて無麻酔で行う手術であるため、上記対象疾患の中でも短時間で終了できると考えられる疾患のみを対象としております。なお、悪性の疑いがある場合も対象外となります。

外来子宮鏡手術を受けるための準備

  1. 手術の前に必要な検査:原則として、手術までに血液検査、尿検査、胸部レントゲン検査、心電図検査などを実施していただきます。なお、これらの検査に問題があった場合には、手術ができないことがあります。
  2. 手術の時期:子宮鏡手術は月経終了直後に行うのが原則です。そのため、手術の前にホルモン剤を投与し、月経を変更することがあります。月経中や妊娠の可能性がある場合には手術はできません。また、手術日が排卵日前であっても、性交渉により放出された精子が女性の体内で生き残っている可能性があるので、最終月経開始から手術までの期間は必ず避妊が必要です。もし避妊されていない場合には、手術は延期となります。
  3. 手術の前に必要な処置:細径の子宮鏡を使用するので、基本的には前処置は必要ありません。しかし、子宮の入り口の大きさや子宮の内腔に至るまでの道(子宮頸管)の太さや屈曲には個人差があるため、子宮鏡をスムーズにそして安全に子宮内に挿入するために、子宮頸管を拡張させることがあります。その場合は、手術の約1~2時間前に処置を行います。

手術の概要と術後の生活

  • 場所:外来処置室で行います。
  • 麻酔:基本的には麻酔は使用せずに行います。手術当日の来院時に鎮痛剤(内服薬/座薬/注射剤)を使用してもらうことがあります。

手術方法

  1. 子宮鏡手術では、子宮鏡の先端から生理食塩水などの液体(潅流液)を腔内に注入することで、子宮内腔を拡張し視野を確保します。その後も潅流液の注入と排出をコントロールしながら手術を行います。
  2. 子宮内腔の病変部を確認し、子宮鏡の先端から出る鋏の様な装置を操作して切除します。切除された検体は別の装置でつかみ体外に摘出します。 手術方法のイメージイラスト
  3. 手術時間は、通常5分から15分ですが、「手術が長時間になる」あるいは「続行不可能」と判断した場合には手術の途中でも中止することがあります。その場合は、改めて日程を調節し再挑戦するか、麻酔下に子宮鏡手術が可能な病院にご紹介いたします。

手術後の投薬

手術の後は感染予防のための抗生物質を服用します。また、子宮内腔の癒着防止のため子宮内避妊器具を一定期間挿入したり、女性ホルモン剤を一定期間服用していただく場合があります。

手術後の生活

手術当日

手術直後は腹痛や気分の不快(嘔気)が出現することがありますので、しばらくはお休み頂いてから帰宅していただきます。軽い腹痛が多少持続する場合もあるので、帰宅後はご自宅でゆっくりしてください。性交渉や運動は避け、飲酒も控えてください。入浴(バスタブにつかる)はせず、シャワー浴のみとしてください。

翌日以降

発熱、腹痛、多量の出血がないかぎり通常の生活で構いませんが、処方されたお薬は最後まで正しく服用してください。もし、発熱、腹痛の持続や増強、出血の増量がある場合にはご連絡ください。
外来手術ではありますが、手術の合併症によっては入院できる病院へご紹介し、入院をしていただくことがありますのでご了承ください。

外来子宮鏡手術をご希望され受診される場合の流れ

1.予約
WEB予約から初診の予約をお取り下さい。初診時の月経周期中に手術をする事はありません。他院にて子宮鏡検査を行っている方でも、必ず1度は当院にて子宮鏡検査を施行し、当院での手術が可能かどうか判断します。当院での手術が可能と判断した場合には、術前検査(胸部レントゲン・心電図・採血・採尿)を行い問題がないことを確認し、その後の月経発来後に手術となります。
WEB予約
2.初診
問診や経腟超音波等によって、病状を確認します。病状に関する資料(紹介状や子宮鏡検査の写真など)や感染症(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV・クラミジア・淋菌等)の検査結果をお持ちの方は、必ず持参して下さい。手術の必要性があると判断した場合には、当院での無麻酔下での手術が可能かどうか判断するため、日を改めて子宮鏡検査を行うので(月経直後に)予約を取ります。
3.子宮鏡検査
子宮鏡検査を行い当院での無麻酔下での手術が可能かどうか判断ます。また、もし当院での手術が不可能と判断した場合には、麻酔下に子宮鏡手術ができるご希望の施設にご紹介させて頂きます。
4.術前検査
胸部レントゲン、心電図、採血、採尿といった術前の検査を施行します。また、子宮内膜の細胞診を行い、悪性疾患の否定もします。全ての結果が問題ないことを後日電話等にて確認し、次回の月経直後に手術日を設定します。
5.手術日
当日は、14:00に来院していただきます。昼食は12時までに軽めに済ませてください。昼食後も(固形物の入っていない)水分の補給は構いません。手術は準備ができ次第開始し15:00には終了している予定です。手術後は、1時間30分ほど座って経過を見ていただき、ご本人の体調によりますが、通常は16:30頃には帰宅となります。当日は自宅にて安静にしていただきますので、手術後に予定を入れることがないようにお願いします。
6.術後初回診察
術後約1週間で1度来院して頂き、出血等の状況を確認します。
7.術後2回目診察
術後約1週間で再度来院して頂き、手術で切除した献体の病理検査の結果をお伝えします。他院よりご紹介頂いた方は、何も問題なければ当院はこれで終診となり、紹介元の施設にお戻り頂きます。

上記のように、6回程度は通院して頂くことになりますので、ご了承ください。なお、初診の部分をオンライン診療(平日22時~・自費:8800円)に振り替えることができますので、ご希望の方は平日14時以降にお電話でご連絡ください。